あしおと

タイトルをひらがなにすると一気にエモみが出るよね。エモの使い方合ってるかな、合ってないかもな。

じとじとしていると寝ていてもすぐに目がさめるのでいやだ。しかも1度目がさめると、じとじとにじっとり取り憑かれて眠れやしない。いやだ。さらには全身の皮膚が爽やかさを失い、ぺたぺたと音を立て始める。なんていやなんだ。そうしてあまりの空気の重さに息をするのも億劫になって、潜るみたいに息を止めてみたりする。あれれ、意外と息をしなくても大丈夫なんじゃないかしら、このままいつの間にやら人生がおしまいを迎えてたりしないわよね、とおそろしく不安になって、そのうちにどうしようもなく苦しくなる。思いっきり息を吸う。吸い込んだ空気が鼻の中で渋滞している感じがする。もう本当にいやだ。

眠れないときは目を閉じているだけで寝ていることになるのよ、なんて言うが、それに従って目を閉じていると、後ろの目が開く。(ほんとは目は前にしかないけれど)後ろの目をじーっと開けていると、得体の知れない、何者かがそこにいるのが見える。たいてい天井の隅にいて、じっとわたしを見下ろしている。なぜだか起きているのがばれるとまずいと思って息をひそめる。そうするといつの間にか眠れる。

もちろんこれはわたしが心底おばけがこわいと思っている故の誇大な妄想で、霊感なんかではない。そんなものはない。絶対にない。おばけも存在しないでほしい。こわいから。手や足を引っ張られないために真夏でもすっぽり布団にくるまったり、背後を作らないために仰向けに寝たりするぐらいにはおばけがこわい。はたちを過ぎてこんなことを考えているなんて、なんて恥ずかしいんだと思うので、万が一の場合でもおばけを蹴散らすぐらいの精神力を持ちたい。マッスルじゃ倒せなさそうなので。